周辺症状、っていうけど その2


今回も

「周辺症状」ってない

という話の続きなんです。BPSDについても考えます。で、珍しく、本題に切り込みます。単に理屈上の話です。「周辺症状」とかそもそも「症状」とか、いう言い方が、いい、とか、わるい、とかいう話は今回はなし。その話も大切なので、どこかでちゃんとします。で、今回はしつこいけど、単に理屈。ついでに、BPSD(behavioral and psychological symptoms of dementia)、日本語では、認知症に伴う行動と心理の症状、って訳すんだろうと思うのですが、そのBPSDが、世間では周辺症状の代わりに使われている。
でね、

だ、だん!

「BPSD=周辺症状」でない

んです。これもBPSDって定義があるから、それとの比較をするとその理屈がわかる!


まず周辺症状、とは、なにか。

  • 周辺症状とは、中核症状以外
  • 中核症状とは、(認知症の原因となっている)脳の変化と直結する症状

ですよね。だから、

  • 周辺症状とは、脳の変化と直結しない症状

話は以上、なんです。わかります?

認知症って、脳の、後戻りしないような、変化があって、そのせいで生活に支障がある、っていうのが、定義上の必要条件ですよね。この必要条件というのは、逆に、脳に変化がなければ、認知症ではない、ということですよね。昔、ならった、対偶ってやつ。命題「AならばB」の対偶は「BでないならAでない」ってやつ。命題の真偽は対偶の真偽と一致、ってやつ。
でさあ、「脳の変化と直結しない(認知症の)症状」ってなに?ってなる。だからそんなものはない、のです。世間では、周辺症状って、たとえば暴言暴力不穏興奮、っていうけど、ね。それっておかしい。でね、「いや、そんなことはない!認知症によって脳が変化して、そのせいで暴言暴力が生じる」ってある医師に言われたことがあったのを思い出した。でもさあ、脳のある部分が変化して、暴言はく、と言うんだったら、それって、中核症状でしょ、という感じ。ともかく、周辺症状、って存在していない用語なんですね。でも、収まり悪いでしょう。「暴言暴力不穏興奮って周辺症状じゃないのか」って。ぼくが怒られてもしょうがない。だって、理屈上、存在しないんだもん。この用語自体を捨てたほうがすっきりする。こういうものの見方がいいのか、わるいのか、という話は別。これも改めてします。

でね、この話、実は、まだ終わっていない。それは、中核「症状」という用語。この用語について考えることは、かなり大切。認知症に対する、ものの見方を決めるような話なんです。でも、今回はなし。あらためて書きます。


あっ、BPSDのこってた。BPSDって、定義があります。1999年、国際老年精神医学会でフィンケルっていう人とバーンズ、っていう人が中心になって専門家が討議して、決めたようです。それまでも何度か会合を持ったようだけれど、1999年に決めた。英語は「symptoms of disturbed perception, thought content, mood, or behavior that frequently occur in patients with dementia.」ぼくが訳すと、「認識・思考内容・気分・行動が障害される(disturbed)ことでしばしば生じる認知症患者の症状 」ってなった。(disturbed)っていうのは、たぶん、「おかしな異常さ」的なもっと偏見に満ちた感じあるんだけど、うまく訳せなかった。まあ、これをよむと認知症の原因疾患によらない概念ですね。なんの疾患でもいい。アルツハイマ型認知症であろうが、前頭側頭型認知症であろうが、レビー小体型認知症であろうが、血管性認知症であろうが、なんでもいい。そういう症状があれば、それをBPSDというらしい。
一方で、周辺症状。うえで、そんな概念ない、ってかいちゃったけど、つまり、もうすでに「BPSD=周辺症状」でない、を証明しているんだけど、ダメ押し的に別の角度からみます。さっきの、「周辺症状とは、中核症状以外」を使いますか。ところで、中核症状とは、それぞれの疾患で特徴的な症状ですよね。ということは、疾患ごとに違う。つまり、アルツハイマ型認知症の場合と前頭側頭型認知症の場合といろんな場合に、それぞれある、という概念ですよね。でね、「周辺症状とは、中核症状以外」。つまり、周辺症状も疾患ごとに違う。BPSDは疾患がなんであれ、認知症があって、かつ、そういう症状があれば、それをBPSDという。そういう概念。したがって「BPSD=周辺症状」でない。もういいですね。


でも、ホントは、書きたい内容は、こんな内容ではないのです。認知症を自分事として考えていきたいのです。今回はあくまで理屈。でも、同じ言葉を同じ意味で共有したほうがいいと思って、しつこいのですが、書きました。


カテゴリー: 認知症の考え方