中核症状、っていうけど その1


まあ、なんていうんでしょー。
今回は おおよそ、なんだけど、みんなが思っているほど

「中核症状」ってない、

っていう話なんです。あっ、ついでなんだけど、「認知症の症状」って言葉、聞いたことない?これとも関連しています。あっ、「認知症らしさ」って、これもずいぶんと困った言葉なんだけどさあ。これとも関連しているね。
まあ、中核症状って呼んでいいものも、ちったあ、あるんだけど、でも、たいてい、「中核症状」っていってしまうことで、理解を妨げ、不具合が生じてしまう。でも、今回は理屈のみ。そういってしまうことで生じる不具合の話は今度。

なんだか、このところ、屁理屈が多い、という声が、あちこちから聞こえそうですが。まあね。そういわず、お付き合い願えると、ありがたい。だって、「人」として、を考えるためには、こういうのって大切なんだもん。


ということで、たとえばさあ、
「アルツハイマー型認知症の中核症状のひとつに、記憶障害がある」
って聞いたことない?

それって、「えっ!」、って思わない?

えっ、思わない。

あっ、そー。

じゃなくて!。

無理から、説明します。例のごとく。いいとか、わるいとか、じゃなくて、そもそもの、理屈から。

「症状」、ってなんだろうね。
まあ、語感から、外から分かる、って感じがするんだ。なんだか、腫れているとか、血、出てるとか。ね。あと、色。赤いとか、黄色い、とか。あるいは見た目だけではわかりづらいけど、触れば、わかる、っていうのもある。熱がある、とか、押すと痛がる、なんだかふくらんでる、とか。

そこで、「症状とは」。ぼくの表現、現時点ではまだ雑かもしれないけれど。
とはいえ、まあ、そんな外れていないと思うのは、

症状とは「顕在化した表現型」

あたり、かなあ?ここでいいたいのは、「症状」って外からわかる、って感じの言葉ということ。あるいは、ちょっとしたことで、簡単にわかる、っていうこと。そんな語感のある言葉だと思うんだ。
「認知症らしさ」というのは、同じく、語感的にさあ、外からわかる、っていう雰囲気、満載でしょ。でもね、そんなもん、ないんだと、思うんだ。いままでのメディアは、認知症らしさ、があるとして、それを追いかけがちだったけど、ね。

で、もとい! 記憶障害。これを考えようか。まあ、これって外からわかるかって。実際の認知症の人にあってみれば、わかるけど、簡単じゃない。専門家なら、ちらっと仕掛けのある、問いかけをすれば、少しはわかるんだろうけど。だれでも、簡単にわかりそうな記憶障害。しかし、実際の診療では、そうではないって感じてしまうんだ。ともに暮らしている家族ですら、その記憶障害の「状態」と、それによって影響される本人の世界観を、理解しているかって、いえば、意外にわかっていない人も多い、と思うよ。決して、家族が手を抜いているんではない。そもそも、記憶障害と、それに付随する本人の世界観って、理解するのが、難しいんだろう、って思うんです。たとえば、このことを深く理解できれていれば、ちなみに、周辺症状などといった問題は大半は解決する。はず。(その理由はあらためて書こうかと思います。)でも、そう、できない。だって難しいんだから。(同じことまた言ってしまった。)

つまり、外から、その人をちらっとみて、わからないんです。少々、質問、試してみても、それによって影響された本人の世界観まで、なかなかわからない。なぜ、本人の世界観にこだわるのか。なぜなら、記憶障害、そのものよりも、重要だと思うのです。生きる気力を奪うのも、おそらく記憶障害そのものではなくて、そこから影響を受ける世界観によってだと思う。ここに介入しないことには、「認知症とともによりよく生きる」、って程遠い、って思うからです。しかも、それは、本人にしか、わからないから、です。記憶障害って、それは、機能の低下ですよね。それは、外からはわからない、んです。ここで、思考実験。
目の前に、ふたりの小学生がいる。一人がメガネ。もう一人はいま外で泥だらけの服を着ている。どちらか、一人が微分積分の計算ができる。さあ、どちらでしょう?

ってわかるわけない。メガネかけて、さも利発そうな子のほうがその可能性が高いかもしれないけれど。そうでない感じもする。テレビのクイズ番組なら、まずは逆の答えだ。でなければ、視聴率稼げないしね。

でね、いいたいこと。大切なこと。機能の低下、って外からおおよそわからないんだ、ってこと。でもね、教科書には、それを、さも、わかっているかのような感じで、「記憶障害は中核症状のひとつ」って書いてあったりする。そう言われれば、だれでも、「そっかー。(外からわかる感じで)物忘れがあるんだな」って思う。たぶん、認知症の本人からすれば、そんな生やさしい、もんじゃない、って思うんだろうな。しつこいけど、大切なことは、機能低下やそれによって起こる苦悩は、外から見て、わからない、ってこと。知りたければ、本人に聞くしかない。本人が本当のことを言ってくれれば、だけれどもね。

また、長くなったけど、「記憶障害は中核症状のひとつ」がおかしい。そして、外から見えない機能低下、なんだ、ということをおさえてほしい。そこから本人の世界観の洞察が始まる。本日のテーマは以上。


カテゴリー: 認知症の考え方