認知症診断、っていうけど その5


まあ、まだ、

MCIの診断について

の話です。前回まで、AAMIとかAACDの話をしました。でね、悪いお知らせです。一旦ここで、どうしても、変な話をしなければなりません。平均とか標準偏差、標準誤差とか出てくる話です。この話の結論だけでも理解していないと、MCIの診断の意味が見えてきません。いじわる、で言っているのではないよ。そもそも、MCIを統計的に記述したから、こんなことが起こる。ぼくのせいではないよ。そういうふうに考えた人のせいだよ。今回の内容が、わからないとしても、ぼくのせいではない、といった催眠にかけようと思って重ねていっています。
まあね、逆に言えば、これらの取り決めから問題点もみえてくる。でも今回は面倒な話のみ。


平均、とは、ご存知の平均です。たとえば、2年9組で記憶力テストをして、先生が結果を発表します。で、「よし、今回の期末は、よく出来た。クラスの平均点は80点だ」。そのときの平均はイメージ通りの平均。算術平均とか相和平均とかいうらしいね。集団を記述する一つの方法。でも、それ以外にもあるんだ。幾何平均とか相乗平均とか呼ばれるもの。まあ、どうでもいいけれど、対象データを乗じた値の累乗根で示されるもの。
次、標準誤差。
でね、標準誤差。ちゃんと説明するのはややこしい。ほぼ、細かい話は諦め、ざっくり。それは、ばらつきを意味する指標だよ。この数字が大きいと、ばらつきが大きい。
ちなみに、数式では、
$$標準偏差=\sqrt{\frac{1}{n}\sum_{i=1}^n (x_i-\bar{x})^2}$$

$$標準誤差=\frac{標準偏差}{\sqrt{n}}$$

高校の数学だね。わすれたかな。大丈夫。(と無責任に言ってしまう。)でね、単位は”平均”と同じ。そこで前回まででていた、平均マイナス標準誤差、という値について、やっと説明できる。(ホントは、どうでもいいけれども、なるべく偏らない推定量を使うので、ほんのすこしだけ、この数式から得られる値よりも、大きい。)

Rplot01
絵を書きました。R、っていうソフトでえらく久々に書いたので、日本語をうまく出せなかったので、ここで説明。
平均は0として、横軸はちょっとわかりやすく規格化した標準誤差。それを1にするんだ。このグラフで言うと、その際の横軸は標準得点って呼ぶよ。まあね、いいたいことはわかる。なんのこっちゃ。でしょ。ちゃんと説明していないのだもの。でさあ、がっつり話すと、引かれる気もする。まっ、いいか。結論的な部分を言えば、ある集団でのテストの点が正規分布しているとしたら、(まあ、ここはオマジナイ的なもんと思ってください。)点数を細工することで、このグラフで表現できるようになる。でね、よく、MCIのゾーンを決めるときに、この前やった認知機能の各ドメインで、それぞれ平均マイナス標準誤差から平均マイナス2X標準誤差までをMCIゾーンと決めたります。それ以下を認知症、などとします。つまりですね。このグラフで言うところのピンク。ここがMCIのゾーン。全体の面積のうち13.6%占める。そして黄色の部分、つまりここが認知症のゾーン。全体のうち2.3%占める。なものですから、仮に、ひとつのドメインのみで、集団で認知機能のテストをしたとします。その得点の分布に従うのなら、という仮定のもとでいうと、1000人の集団がいて、成績を逆順に並べた時に、上位1番から23番までが認知症ゾーン。それ以外の上位(23+136=)159番目までがMCIゾーンに割り付けられる。つまり、この方式に則った場合、そして、ひとつのドメインしか調べない場合、あらに、得点が正規分布するとした場合、1000人のうち、認知症の人は23人いる。MCIは136人いる。この方式ではそうなる。100人で考えるほうがわかりやすければ、同じ条件で、認知症の人は2人いる。MCIは14人いる、ということになる。


かなり、頭痛い内容ですが、大切なのは、最後の部分のみ。いまの流通している考えによれば、MCIを決めていく規約においては、以上のような背景がある。認知機能に関するテストの結果から、統計的に割り付けられて、結果的にはその点数次第で、MCIとか、ついで認知症が決められている、ということ。面倒な話はここでまとめたので、次回は、わかりやすくなります。きっと。明るい気持ちで。


カテゴリー: 認知症の考え方