繁田雅弘医師の講演「あなたは認知症予防というものをどのように考えていますか?」


5月10日、都内で、当院非常勤医師繁田雅弘が、他職種による勉強会「在宅医療カレッジ」に登壇しました。

東京駅直結のオフィルビル、会場は100人を超える参加者の熱気に満ちていました。

繁田医師が掲げたテーマは、「認知症予防」。実は、これをやっていた人は認知症になりにくい、というような、特定のトレーニングが認知症を予防することはありません。それなのに、そのことにばかりとらわれて自分らしく生きられるはずの貴重な人生の時間を無駄にしないで欲しいと呼びかけました。

そして、こんな話を続けました。

海外のある研究によると、認知症のある人とない人に、映画の、悲しい場面、楽しい場面、などを見てもらい、時間を追ってその感情がどう変化するかを調べたそうです。すると、どんなに時間が経って、具体的なストーリーや登場人物の名前は記憶されていなくても、“感情の記憶”は、認知症のある人とない人で差がなかったというのです。つまり、楽しかった、悲しかった、etc,,,といった感情は、いつまでも残るのです。繁田医師は、診察室で、認知症のある人のご家族から、こんな話をされると言います。「一緒に温泉に行っても、どこに行ったのかさえ覚えていないんです。無駄なことをしているんですね」。さて、私たちが温泉旅行に行く目的とは何でしょう?温泉の名前を覚えることでしょうか。そうではありません。そこで感じた心地よさ、楽しさ、家族の愛情といった感情は、ずっと変わらず残っているのです。その余韻を楽しむことができるのです。認知症のある人もない人も、旅行に出かけていろいろな体験をする、その価値に何ら変わりはないということなのです。

繁田医師は、診察室で、講演の場で、ずっと、「希望」を語り続けています。認知症があろうがなかろうが、自分の人生を充実させることができる、そんな希望です。それこそが、認知症に対する最大の予防なのではないでしょうか。

文責:平田知弘


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