認知症の方が暮らしていくこと

非常勤医師 神戸 泰紀 Taiki Kambe

病気を告げられた時

認知症(の疑い)と告げられて、
あなたの感情は揺さぶられると思います。
当然ですが一人一人の感じ方は違います。
例えば、ショックを受け、何も考えられなくなり、
身を引き裂かれるような感覚になるかもしれません。
病気であることを否定する気持ちや、
病気に対する怒り、将来に対する不安や恐れ、
失望や落胆といった様々な感情が駆け巡るかもしれません。

それらの気持ちは、時間がたてば少しずつ解消していきます。
信頼できる人に自分の気持ちをぶつけたり、
同じ病気を抱える人たちのグループに参加したり、
病気について勉強をしたり、気晴らしをしたり、
あなたならではの折り合いのつけ方があります。

神戸先生白抜き
こだまクリニック院長
神戸 泰紀 Taiki Kambe

心構えについて

今、この時は、人生の中で重要な時です。
ここでどのように考え、どのように行動していくかが、
これから続く人生の方向に大きく影響します。

認知症と聞いて、「もう何もわからなくなってしまう」
「人生がおわったようなもんだ」と感じているかもしれません。
認知症には確かにそのような悪いイメージがあります。
そのイメージはどうか一旦忘れてください。
日々の暮らしがあなたのものであることは、
これからも変わりません。
そして、日々の暮らしを作るために一番重要なものは、
あなたの心構えかもしれません。

病気は次第に悪くなります。
そのスピードを正確に予想することは誰にもできません。
通常はゆっくり進みます。
不便さが増えてくると思います。
そして、その先には死があります。
しかし時間がたてば死に至るのはだれでも同じです。
そこまでの人生をよりよく生きることも変わりません。
無条件で何かをあきらめる必要はありません。

今を大事にすることも、これまで通りです。
あなたは将来を見据えて、話し合うことができます。
心の準備ができているときに、信頼できる人と、
「病気があることで暮らしがどう変わるか」について、
話し合ってください。
どう適応すればよいかを、あらかじめ考えておくことができます。
そして例えば、人生の課題や目標について、
自分が受けたいサポートについて、
持っているものをどうしたいか、なども
話をするとよいかもしれません。

周囲の人との関わり

あなたは周囲から切り離されたような気分になるかもしれません。
あなた自身の中に、病気の悪いイメージがあれば、
自ら、周囲の人との関係を絶って暮らしていかなければならないと思うのかもしれません。
そう思う必要は本当にないのです。

できれば、信頼できる周囲の人に
自分の病気のことを伝えてください。
そしてあなたの状態を伝えてください。
それは認知症の悪いイメージを取り払うことにも
役立つかもしれません。
ある人はあなたに関わることを避けるかもしれませんが、
それとは別に新しい友人ができるかもしれません。

あなたが病気になったことは、
ご家族にとっても大きな出来事です。
ご家族は受け入れるのに時間がかかるだろうし、
困難な状況から目を背けるかもしれません。
あなたの状態を分かりやすく伝えること、
お互いに気持ちを伝え合うことが理想的です。
しかし、前に進むためには時間が必要です。

あなたがこの病気になったことで、
あなたの役割と責任が変わるかもしれません。
ご家族や周囲の人は、あなたに関する事柄なのに
あなた抜きで話を進めようとするかもしれません。
これらは、純粋に
「あなたの力になりたい」「あなたを守りたい」
という気持ちで行われていても、
あなたは、奪われている、そんな助けは必要ない、と感じるかもしれません。

あなたができることはしてください。
そして、あなたは誰かの助けを借りることもできます。
助けが必要な時は求めてください。
一方であなたは、
頼りすぎていると感じることがあるかもしれません。
素直に気持ちを伝え、
どうしたいか、どうして欲しいかを伝えてください。
難しい日々の問題について、
具体的に周囲の人と話をしてください。
助けてくれる人には
感謝の気持ちを伝えることも忘れないでください。

何をするのにも体は大事です。調子が悪ければ教えてください。
あなたの生活を、より過ごしやすくする方法があります。
暮らしを作ることができます。
同じ病気の人が積み重ねた経験を生かしてください。

プロフィール

平成15年03月

順天堂大学医学部卒業(同年5月神経学講座入局)

平成23年03月

順天堂大学大学院医学研究科卒業 学位取得

平成23年04月

順天堂大学医学部神経学講座助教

平成25年04月

入職当時の院長は木之下徹医師(現のぞみメモリークリニック院長)でした。平成27年 木之下医師がのぞみメモリークリニック開設後、こだまクリニックの院長として木之下徹医師よりバトンをうけ、品川を中心とした訪問診療に携わっています。

現 順天堂大学医学部神経学講座非常勤講師

現 こだまクリニック院長

資格

  • 医学博士
  • 内科学会認定内科医
  • 総合内科専門医
  • 神経学会認定神経内科専門医/指導医
  • 認知症学会専門医/指導医

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