前回からの続きです。今回こそ、話進めるぞ。よしっ、
最初の「1.認知機能の低下」
についてだ。
あっ、なんの話かというと、「これさあ、認知症に効くんだぜ」だと、だめだよね、という話でした。だっていろんな風にとれるから。でね、いろんな風にとれるのなら、ひとつひとつ考えていけばいい。で、それをしない限り、「認知症が治る」という言葉は、いつまでたっても、すっきりしない。だからさあ、「その4」で書いたけれど、科学的なお作法にのっとって、ひとつひとつ反証ができるような(反証可能性のある)文章にしてから、それを検証していけばいい。ということで、まずはじめに、「これさあ、認知症の認知機能の低下に効くんだぜ」を検証するの巻。
絵をご用意しました。
専門家にとってきわめてまともとおもえる認識を絵にしました。
横軸は時間経過。縦軸は認知機能の水準。青色の線は自然経過です。
誰もが願うのが赤色の線です。すっかり元に戻ることです。
緑の線は現実的に、認知症の薬を飲んだり、運動したり、何かしたり、あるいは環境が変わったり、人間関係が変わったりして、しかも認知機能のよい影響を及ぼした場合の線です。
緑が現実。たしかにすこし回復します。時間が経てば、どうしても低下します。ところで老化だってそうですよ。認知機能の基本要素の能力は減ります。生活の上では、年をとりつつ、獲得した得意な能力で勝負すればかなり知的には高いレベルに達することもできますよね。年とったってすごい人いるじゃんね。でもここでは、認知症医学の基本的理解の話をしています。だから、この絵の通り。
さあ!だれもが望む、この赤い線。V字回復。「これさあ、認知症の認知機能の低下に効くんだぜ」というと、専門家でない一般市民にとっての、ごく普通でまっとうな受け止め方は、この赤い線、だろうと思うんです。専門家でなければ、そう思うでしょ。しかしその願いは、いまは叶えることはできない。世界中の学者が頑張ってそうする方法を見つけようとしてます。でも、それはできないんです。いまできるのは、緑。かなり厳しい臨床試験を乗り越えられた薬がうまく効いた場合、この緑になる。いつの世も、まがいものはたくさんある。いま薬とか運動とかメタボ管理以外の、不思議な飲み物とか、油とか、エキスとか、では、なかなか証拠が挙がっていません。なぜなら、こういった研究は、「しっかりとした検証」をしようとすると、実施がきわめて困難なのです。僕の知っているのは、「認知症になってもメタボをよくすると、そのあと緑になるかも」、という論文があります。それはフランスから出ていたのは記憶しています。そのうち、思い出してちゃんと引用しますが。さあて、この緑の話を日本語にしよう。つまり「これさあ、認知症の認知機能の低下を遅くするのに効くんだぜ」になります、よね。今日的には、それでも認知症になった人にとってはそれでも大いなる希望だと思います。(「希望」:でも「認知機能の低下を遅くすること」は必要条件にしか過ぎないことにも注意は必要。この話は、別のところで、しっかりと考えなくてはいけない。)まあ、概要としては、「1.認知機能の低下」については、そんなとこです。
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