認知症を取り巻く、ぼくが、えらいなあ、と思った話。
はははは、まだ続くとは思わなかったでしょ。
ということで、娘のその後。
もともと、美容師さんだった。
母親の退院後、母親とともに団地に住みつつ、
なにか、母親や自分自身のような境遇の人に役に立ちたい、って思った。
店をやめて、訪問の美容師さんになった。
利用する人々の自宅や各施設を回るようになった。
でも、母親が亡くなってから、自分の時間を全部、そういったことに使いたい。
そう思って、ホームヘルパーになった。
もう10年くらい前の話。
ぼくが訪問診療していると、ちょいちょい、現場で出会った。
いつもすがすがしい笑顔が印象に残った。
訪問が終わり、帰りしな。
ぼくは、その娘に。
「また、太った、だろー。」
「また、食ってんだろー。」
「ちったー、食い過ぎ、やめな」
と、ひと事のように、ぼくは告げて、後にする。
背後から、
「先生も、食べ過ぎ、だめだよ!」
「私よりも先に死んじゃあ、だめ、だから。」
娘よりもぼくは、年は結構、下。
でも、たしかに。
まあ、そういう、つながりも、いいかな。
(ほんとに、終わり)
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