4月20日に東京で開催された、アルツハイマー病研究会・学術シンポジウムに参加してきました。全国から認知症の専門医が集う、とても権威のある大会です。
そこで、少し変わった、でもとても心に残る発表をしたのが、当院の看護師、水谷佳子です。
水谷は、看護師として、リンクワーカーとして、当院を受診された方たちのお話を聞き、暮らしの相談に乗ってきました。
ただ診察だけで終わるのではなく、話し相手になってちょっとした疑問・質問をぶつけてもらったり、ときには気晴らしに一緒にお出かけしたり、そんな付き合いを受診者さんと続けてきました。
その様子を、飾らずに発表したのです。
タイトルは、「生きていかなきゃ、じゃん」。――会場の医師たちの心に響いたようです。
たとえば、こんなお話。
当院に通っているさくよさん(仮名)。ある日、さくよさんと話をしていると、少し白髪が目立つことに気づいたそうです。すると、さくよさん「毛染めに行っていいかわからないから、ずっと遠慮しているのよ」。なかなかそういうことって、診察室で先生に聞くのは勇気のいること。そこで水谷さんが一声かけて、先生から話をしてもらったそうです。すると、次にお会いしたとき、さくよさんは、ずっと我慢してきた美容院に行って、気持ちもぱっと明るくなったそうです。
水谷看護師「診察室で先生と面と向かっているときには聞けないこともあるし、診察室での先生のお話がぴんときていないな、というときもある。そんな時に、私があとでそっとお話したりするんです」。
こんな何気ないお話ですが、会場にいた医師たちは真剣な顔で聞き入っていました。診察する側からは思いも寄らない受診者さんの姿が、そこにあったようです。
水谷看護師の話が終わると、会場は大きな拍手に包まれていました。
こんな、ひとりひとりのちょっとした一言や、言葉の裏にある感情にまで思いを至らせることができる、そんなクリニックを目指しています。
文責:平田知弘
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