【ブログ】「ふつうの認知症」と世間のギャップ

当院にてアルツハイマー型認知症と診断した山口としこさん(仮名、85 歳)がこういうのです。


としこさん:「先生、わたしってふつうですか?」


僕は、「そうですね、ふつうです。」といいました。


すると、山口さんは「でも、認知症でしょ」


僕は、「そうですね」


診察室の空気は心なしか悪くなっていきます。


たまたま国の事業で、杏林大学の神崎先生を班長に数年前に認知症の統計を計算したことがあります。ぼくの頭の中に残っていた印象は、85 歳以上の(認知症及び軽度認知障害の)有病率は低く見積もってもほぼ地域差はなく、7 割、というものです。85 歳にもなれば、認知症である方がふつうではないか、というものです。たとえば、のぞみメモリークリニックがある三鷹市を見てください。


ここでの山口さんとの対話から、ぼくは世間では85 歳すぎても、90 歳過ぎても、まさか自分は認知症にはならないだろうという期待があるのではないか、とおもったのです。認知症ではないほうがふつうなのではないか、というものです。たしかに「ふつう」とは、人数の多いほう事象をさすのではなくて、その人の「ふつう」の認識の在り方次第ですね。逆にその人の「ふつう」の認識の在り方を知ることで、たとえばその人やその人を取り巻く人々の、生活上必要とする「ふつう」の基準を知ることができます。認知症においてはとりわけ、この世間の「ふつう」と「現実の多いほうの事象」とのギャップが大きいのではないか、と思うのです。


現実の普通は、85 歳にもなれば、それ以上の人々の(認知症及び軽度認知障害の)有病率は低く見積もっても(この
理由は別途かきますが)7 割程度です。
世間ではこの数値の高さは信じてもらえないでしょうね。
来る我々の未来におこることで、いまから推定できることは、まさに明日は我が身を感じれることでもあるし、これからの生き方を決めていくことにもつながると信じ、このたび日本の地域ごとの(あくまで推計ですが)認知症並びにMCI の推定数についてアプリとして掲載しました。ぜひともご活用ください。

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