山中しのぶさんピアサポート
第11回目のピアサポートが行われました。今回は山中しのぶさん。山中さんにお越しいただくのは今回で3回目です。高知県から、わざわざのぞみメモリークリニックまで足を運んでくださっています。
山中しのぶさん紹介
山中しのぶさんは、高知県の高知家希望大使として活動しながら(2019年2月、41歳の時に若年性アルツハイマー型認知症と診断を受けました)認知症になってからのセカンド・ストーリーにハッピーをどんどん増やしていきたいと考え、一般社団法人「セカンド・ストーリー」を開設、また2022年高知県香南市に「でいさぁびすはっぴぃ」を開所。さらに2024年4月には高知市大津に「でいさぁびすはっぴぃ2号店」を開所しています。
山中しのぶさんを紹介している記事が多くあります。
40代シングル、3人の子育て中に認知症診断…絶望からの第二幕は(朝日新聞)
認知症になった私が、介護施設を立ち上げた理由 【山中しのぶさんインタビュー(後編)】(SOMPO笑顔倶楽部)
若年性認知症当事者の山中しのぶさん、高知県香南市にデイサービス開所 「自分は一人じゃない」と感じて(高知新聞)
山中さんとのご縁は、昨年8月に丹野智文さんのピアサポートを見学されたことがきっかけでした。これまでに、昨年の12月と今年の5月にお越しいただきピアサポートをしていただいています。3回目の今回は7月31日に実施されました。
今後も、9月と11月に山中さんのピアサポートをお願いしています。
丹野智文さん紹介
宮城県仙台市在住の丹野さんは、39歳の若さでアルツハイマー型認知症と診断されました。その当時、自動車販売会社で営業マンをしていましたが、商談したばかりの顧客の顔や名前を思い出せないことがありました。当時はネットや本などで探しても、前向きに生きていくための良い情報もなく、小さな子どもたちや妻を思うと毎日泣く日々があったそうです。
ピアサポートでは、「診断されてから11年以上経っているけど今も元気です」と言って笑顔で始まります。丹野さんの活動は「目の前の認知症の人を笑顔にしたい」という思いから生まれています。
今回のピアサポートの風景
前回のピアサポートにも参加された方が、この日も山中さんに会えるのをとても楽しみにしていました。再会は、まるで昔からの友人に会うような楽しく落ち着いた雰囲気でした。前回は緊張していたのか、硬い表情で「迷惑をかけている」と何度も繰り返していたその方も、今回は別人のように変わっていました。穏やかな笑顔で山中さんを迎え、子育ての先輩として山中さんの話を聞きながら、ご自身の話も自然にされていた姿がとても印象的でした。
あるご夫婦との対話では、共通の話題で盛り上がり、冗談や笑い声が絶えませんでした。「認知症」の方のピアサポートですが、最初に将来の不安について少し話した後は、懐かしい思い出や血液型と性格の話が続きました。最後に、そのご夫婦から「家ではこんなに盛り上がって話すことはありません。どうしても認知症の話になってしまうので、今日は本当にありがたかったです」との言葉をいただき、はっとさせられました。
別のご夫婦(前回丹野さんのピアサポートに参加していました)との対話では、夫が丹野智文さんのように前向きになれないと奥さんから相談がありました。山中さんは、「一回その物差し捨ててみたらどうでしょう」と伝えました。さらに「なんでも同じようにできなくて当然や。(ご主人が)できる工夫はされてます。全部当てはめるとしんどくなるからね。奥さんもしんどかったでしょ?マイナス面ばかり見てたらお互い辛くなるから。奥さん、もっと楽になりましょう」と話しました。それを受けてご主人からも「私も女房に楽になってほしいと思っている」と話し、ご主人の言葉に奥さんの顔が綻びました。
まるでこんがらがった糸がほぐれていくような感じがしました。
どうしてピアサポートなんだろう
ピアサポートだからといって特に認知症の困りごと話をするのではないのですね。普通の会話をしていく中、山中さんとの間に何かが生まれているなと感じました。その何かをきっかけにして目の前の人がイキイキしてくるのです。
この何かって一体なんだろう?
ピアサポートだからかな?
よくわからないけど、なんだかとても大切なものかもしれないと感じました。
この日も善い一日。みんなの心がホッとするピアサポートでした。
山中さん、ありがとうございました。
また、よろしくお願いいたします!(のぞみメモリークリニックスタッフ一同)
文責 のぞみメモリークリニック精神保健福祉士 寺尾康子
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