丹野智文さんのピアサポート
2024年8月7日(水)のぞみメモリークリニックで丹野智文さんピアサポートがありました。仙台から始発の新幹線で三鷹までいらしていただきました。目の前の仲間(認知症の人)を笑顔にしたいと元気一杯、笑顔いっぱいのピアサポートでした。
この日は11組の当事者と家族・支援者と対話しました。認知症とともに暮らす中で、どうしたらこれからの毎日を楽しく生きていくことができるかについて一緒に考えました。
丹野さんは本当に元気。「丹野さんみたいになりたい」「なってもらいたい」という声をよく聞きます。丹野さんがどうしてこんなに元気なのか、知りたいですよね。今回のピアサポートでは丹野さんご自身のことをたくさん話してくださいましたので紹介します。
最初からこんなに元気じゃないですよ、俺。
暗くて毎晩毎晩泣いていました。不安と恐怖で泣いていたんです。夜一人になると勝手に涙が出てきました。自分で諦めていた時期、自分で「弱い自分」を作り上げていた時期が私にもありました。その頃は全然笑えなかったです。診断を受けて、一時は全てを諦めました。
その頃一緒に活動していた支援者から「丹野くん、作り笑顔でもいいから笑っていなさい、それが本当の笑顔に変わるから」と言われていた時期がありました。そして笑顔で前向きな当事者との出会いにより、なんでこんなに悩んでいるんだろうと思えるようになりました。この人のように生きてみたい。そう思ったことが前向きになるきっかけでした。
こうやっていると普通に見えるでしょ?
でもそうじゃないんです。道にも迷うし、物忘れもするし、人の顔がわからない(確かさがない)し。ヘルプカードって作っているんですけど、会社に行くのに道がわからなくなったらそれを見せて人に助けてもらいながら、一人で通勤してます。車で送り向かいしてもらうのではなくてバス、地下鉄、電車に乗りついでいます。勤めている会社で免許のない社員は私だけですよ。車なら会社まで20分だったのが、バス、地下鉄、電車を使うと2時間かかる。生活はしづらいけど、諦めないと思っています。
今、生きているから。どうでもいいです。失敗してもいいと思うんです。
とにかく挑戦してみる。私も最初の頃は死にたい死にたいと思っていた時期もありました。今は、死にたいと思わなくなって、笑顔で過ごそうと思ってますよ。でも2日くらい経つと誰と何をやったなど忘れてしまうのです。でも忘れたっていいと思って。今生きているから、先日何を食べたかなんてどうでもいいのです。不安はなくすことはできないです。でも、軽減することはできます。大丈夫。常に不安との闘いがあるけどね。失敗してもいいと思うんです、死ななければ。
認知症かどうかなんて、どうだっていい。
認知症かどうかなんて、どうだっていい。ただそこに認知症の症状があるだけ。人の顔がわからない、道に迷う、物忘れがあるってことを自分で認めているだけ。周囲に気を遣われているのもわかるし、病気の人って思われているのがわかる。そこが、理解されてないとこだね。でもそれが会社の若い子にはなかったね。認知症のこと知らないから普通に接してくれた。それが自分にとって一番良かった。若い子は普通に接してくれるのよ。
認知症の当事者たちに出会うとみんなおんなじ経験をしてる。それを知るだけでも変わるよ。うん。
たくさんの知恵をありがとうございます
丹野さんの原動力ってなんでしょう?
仙台の仲間たち(仙台の認知症の人の会「仕合わせの会」)とたくさん話すから、できるんだよね。共感したり、普通の話からちょっとした不安を話したり、楽しいこと考えたり、いろんな知恵や工夫も聞けるしね。年齢も関係ないよ。だから三鷹のピアサポートでも目の前の認知症の人に笑顔になってもらいたい。それだけです。
丹野さん、元気になるピアサポートをいつもありがとうございます。次回もよろしくお願いいたします。
のぞみメモリークリニックスタッフ一同
次回は10月を予定しています。
丹野智文さん紹介
宮城県仙台市在住の丹野さんは、39歳の若さでアルツハイマー型認知症と診断されました。その当時、自動車販売会社で営業マンをしていましたが、商談したばかりの顧客の顔や名前を思い出せないことがありました。当時はネットや本などで探しても、前向きに生きていくための良い情報もなく、小さな子どもたちや妻を思うと毎日泣く日々があったそうです。
ピアサポートでは、「診断されてから11年以上経っているけど今も元気です」と言って笑顔で始まります。丹野さんの活動は「目の前の認知症の人を笑顔にしたい」という思いから生まれています。
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