2024年4月20日(土)
会場に500名弱、オンライン500名、合計1000名弱の医師が見つめる中でのセッションでした。シンポジウムの最終セッション(セッション4)は、繁田雅弘先生、吉岩あおい先生、木之下徹院長が運営し、タイトルは「認知症医療のゆくえ〜診断後支援を例として」でした。
山中しのぶさん(高知家希望大使)と
繁田雅弘先生(当クリニック顧問)の対談
繁田先生は海外からオンラインで参加し、「診断前後の不安」について質問しました。
「できることは沢山あると感じられているが、反対にできなくなったことは何ですか?」との質問に、山中さんは「犬を飼うことができなかったことです。(犬のブリーダーさんが医療介護の専門職であったため)「自分の何年か先どうなるのか知っているの?」と言われて諦めました」と話しました。
その答えに繁田先生が「専門職ほど古い考えに囚われているのか」とうめくように言われたことが印象的でした。
ピアサポートの実績
大塚智丈先生が西香川病院で実施している診断後支援としてのピアサポートについて講演し、本人の日記や診療場面、ピアサポートの動画を示しました。
ピアサポートで元気になっていく人々の姿が映し出され、それを支える大塚先生の豊かなお人柄と先進的な取り組みに引き込まれました。
診断後支援ピアサポートのありかた
NHKディレクターの川村雄次さんが「認知症とともに生きる人の診断後支援」について講演しました。長年認知症の取材に携わってきた川村さんは、認知症を取り巻く歴史や認知症観の変遷、当事者の声の台頭について話しました。
最後に、仙台のいずみの杜 山崎英樹先生の文章(「診断後支援とはそもそも診断という医の権力から被った刀傷を癒すためにあるのかもしれない」)を紹介し、認知症診断(医療が作った傷)が与える強い影響を心に留めていただきたい。その上での診断後支援でなければかえって傷口に塩を塗り込むことになりかねないと話し、診断後支援としてのピアサポートのあり方を提案されました。
セッション4の総括
木之下先生は川村さんの話を引き継ぎ、診断が人々を絶望に追いやる状況で支えがないまま認知症と診断し続けることの危うさを指摘されました。「未受診者が7割いると予測されている中で、その人たちの責任を医師である自分たちがどう取っていくのか、先生方と一緒に考えていくことではないか」と締めくくられました。
山中さんは最後に一言と付け加え「本人や家族が集まると必ずレカネマブの話が出ます。MMSEが21点で投与できなくて落ち込む人がいる隣で、明日から入院して投与してもらえると喜んでいる人がいます。投与できる人とできない人がいるので、診断後支援とともにレカネマブが投与できなかった人の支援も。医師や専門職、本人がいる病院で診断直後に元気な当事者と会って支援することがいいと思います。それをお願いしたい」と医師へのメッセージを残しました。
会場で熱心に聞かれていた500名弱の先生方から大きな拍手を受け、木之下先生が示された「認知症医療のゆくえ」を皆で見つめた時間でした。
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