丹野智文さんピアサポート@三鷹のぞみメモリークリニック

6月5日(水)のぞみメモリークリニックで、丹野智文さんのピアサポートがありました。お忙しい中、仙台からお越しいただきました。今回で8回目。のぞみメモリークリニック受診者さんの中には、3回目、4回目の常連さんもいますが丹野さんは「あれー、俺お会いしたことあったかなあ?ごめんね、顔が覚えられなくて、なんとなくわかるんだけど確かさがなくてさ」と笑いながら話し始めます。

ピアサポートってなんだろう?

ピアは「等しい立場の人」を意味します。ピアサポートは、自らの経験に基づきお互いに支え合う活動です。認知症や精神的な問題・病気・障害など同様の経験を持つ人が支援者として活動し経験や知識、感情を共有します。ピアカウンセリングとは異なり双方が仲間として対話します。専門家の支援とも異なり経験者同士が理解し合い励まし合うことで前向きな気持ちや生きる力が生まれます。
【参考文献】
1)令和3年度厚生労働省障害者総合福祉推進事業 障害者ピアサポート研修における講師の養成のための研修カリキュラムの効果測定及びガイドブックの開発基礎研修テキスト(改訂版vol.1) 2022年3月
社会福祉法人豊芯会 https://www.mhlw.go.jp/content/000998693.pdf
2)令和元年度障害者総合福祉推進事業 障害福祉サービスの種別ごとのピアサポートを担う人材の活用のた めの調査研究
ピアサポートの活用を促進するための 事業者向けガイドライン
社会福祉法人 豊芯会 https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/000654213.pdf
3)知ることから始める精神障がいピアサポート川崎市版発行日 令和 2 年(2020 年)3月 編 集 川崎市ピアサポート活動連絡会 発 行 川崎市健康福祉局障害保健福祉部精神保健課 〒 210-8577 川崎市川崎区宮本町1番地 TEL:044-200-3608
https://www.city.kawasaki.jp/350/cmsfiles/contents/0000118/118786/sirukotokarahajimerupe

丹野智文さん紹介

宮城県仙台市在住の丹野さんは、39歳の若さでアルツハイマー型認知症と診断されました。その当時、自動車販売会社で営業マンをしていましたが、商談したばかりの顧客の顔や名前を思い出せないことがありました。当時はネットや本などで探しても、前向きに生きていくための良い情報もなく、小さな子どもたちや妻を思うと毎日泣く日々があったそうです。
ピアサポートでは、「診断されてから11年以上経っているけど今も元気です」と言って笑顔で始まります。丹野さんの活動は「目の前の認知症の人を笑顔にしたい」という思いから生まれています。

丹野さんおすすめの動画

一般社団法人認知症当事者ネットワークみやぎ

「俺が特別なんじゃないよ。当事者はみんな話せるよ。認知症だから話せないなんてウソ」
これ見てみて!(丹野さん)

情報はいらないよ

これからお会いする方の情報は何もいらないよ。

病名も、年齢も知らないでいいさ。カルテみたいなものを見て、わかった気になると、広がらないからね。

逆にまだ話してもいない情報を俺が知ってたら、なんで知ってんの?って嫌な気分になるでしょ。

俺がやりたいのは、目の前の人が元気になることだけだから。

クリニックでも販売しています。

診断後直後が一番大切

そうでしょ、そうだよ。診断される前と、診断された後で何も変わらないよ。1週間後も。一月後も。1年後は進む人もいるかもしれないけど、記憶が悪くなったなと思ったら工夫すれば何でもないよ。ノートの書き方工夫したり、携帯でアラーム使ったり、持ち物にエアタグつけておいたり。でも工夫、工夫って頑張りすぎないで、できないことを人に聞いたり、助けてもらっていけばいいさ。落ち込んだりしなくていいよ!

自動車免許証返納・・仕事どうする?

俺もね、車会社の社員として、ただ一人免許を持ってないんだよね。診断されて、返納したよ。でも、よく考えると公共交通機関やタクシー使ったり、歩いたりした方が、安く収まるんだよね。車両代金、燃料費、税金、車検、タイヤ交換、保険料がかかるからね。走行距離にもよるけど、都内だったらそんなに遠距離じゃないでしょ。製品を運ぶなら、宅急便とかもあるしね。事故の心配もないから気が楽だよ。運転しないって寂しさはあるけど。自主返納して運転経歴証明書もらうと特典もあるよ。タクシー会社によるけど、補助もあったかも。色々利用した方がいいね。説得されて自主返納したくないけど、自分で納得すれば文句は出ないよ。自分で考えて決めることさ。

あなたのスピーキングは本当によくわかる

忘れたっていいんですよ。誰かが覚えててくれれば、それでいい。失敗したっていいんですよ。次にどう工夫するかを(当事者が家族や支援者と)一緒に考えること、そうしたら今度は成功して、元気になるんですよ。認知症になった人を一番落ち込ませることは、何でもとりあげること。財布を持っちゃダメとか、一人で出かけちゃダメとか。お母さん、鬱になっちゃダメですよ。認知症のお母さんじゃない、お母さんに認知症がちょっとあるだけですよ。

この日は、12人のピアサポートでした

丹野さんはのぞみメモリークリニック到着と同時に、ピアサポートを開始。予約のあった人の他にどんどん飛び入り参加がありました。個室ではなくクリニックの待合室の一角で行っているため木之下院長も「丹野と話していけば」と受診者の方に声をかけます。その上、丹野さんも近くに座っている人に声をかけて話し始め、この日のピアサポートは時間がある限り休みなく続きました。

12人のピアサポート。12人の方が笑顔でお帰りになる姿を見ることができました。

丹野さん、本当にありがとうございます。

次回は8月、またよろしくお願いいたします。

のぞみメモリークリニックスタッフ一同

文責 寺尾康子

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