2024年12月4日(水)今年最後のピアサポートが実施されました。担当してくださったのは仙台の丹野智文さん。講演会のため全国を駆け巡っている中、のぞみメモリークリニックでのピアサポートにやってきてくれました。
今回も丹野さんならではのパワーみなぎる対話がありました。
クリニックを受診されている方でも、診断を本人に伝えないでほしい、また認知症の検査と言わないで健康診断と言って。という希望を聞くことがあります。丹野さんは、そんな情報も必要ない。現在の症状も、病名も、予備知識は一切いらないといいます。今回のピアサポートでも「この人、自分が認知症だと思っていないんです」というご家族の言葉を気に止めることなく「大丈夫ですから」と話し始めます。「本人が一番わかっていることだから」と。
私が認知症に見えますか?
ご自身の11年間にあった経験を話される中で、最初に1年半の不安と恐怖で毎晩一人で泣いていたことや、子供や家族の将来を考えるとどうして良いかわからなかった話をされます。それからどのようにして今これほど元気なのかを続けていきます。元気で笑顔の丹野さんを目の前にして、「どうやって治したんですか?」という質問も多く出ます。中には「なんで私に認知症になったら。って話ばかりするの?私が認知症に見えますか?」とちょっと怒っているような質問もありました。
それに対して「俺は治ってないし、症状は増えているよ」「〇〇さんは認知症に見えないよ。普通だよ。俺が認知症だから話をしているんだよ」と丹野さんは答えます。人の顔を誤認識してしまったり、もの忘れしたり、バッグを置いてきてしまったり、電車を逆方向に乗ってしまったり、たくさんの失敗を紹介します。「失敗はしてもいい。失敗するから、次どうしようか考えるんだよね。失敗を恐れて、できることまで誰かに任せたらだんだん自信がなくなるよ。自分なりで考えて次に挑戦することで自信を取り戻すんだね、認知症の人に足りないのは自信だからね」
認知症だ、なんて認めなくていい。
認知症に偏見があるのは社会だと思っていたけど、自分の中にもあるんだなって思うよ。でも認知症かどうかなんてどうでもいいことよ。ただ、自分に起きていることを感じているでしょう?わかっているでしょう?俺も同じだよ。その症状は認めないとね。それとうまく付き合っていければいい話。先のことを考えたら不安でしかないからね。大変なこともあるけどね、今日が楽しい日になるように考えたらいいさ。
ピアであること。
診断されてから11年経っている丹野さんには見えてることがある。モヤモヤした気持ちも、苦しい思いや、笑い飛ばしたい気持ち。うまく言えないこと。縮こまっている自分の世界。
その眼差しは自分の認知症が心配でたまらない本人の味方。同じ経験を持つピアだからこそ、また目の前のピアのためを思って話す言葉は、心を軽くしているように見えました。ピアサポート終了後「私も頑張ってみようかな」と笑顔になった人に、丹野さんは「浮き沈みがあるからね、落ち込んだらまたきてね」と言って笑います。これで終わりじゃないこと、そんな簡単なことではないこと、いろいろなことが見えているんだと感じました。
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