テーマ「認知症基本法と私」話題提供:和田幸典さん
年々暑くなっていく世界の気候、この日も東京の外気温は35度を超え熱中症警戒アラートが発表されていました。8月3日土曜日の午後、日本全国から約60名が東京都三鷹に集まり第28回認知症当事者勉強会が行われました。
和田さん紹介
今回の話題を提供してくださったのは、厚生労働省 老健局認知症施策・地域介護推進課 認知症総合戦略企画官であった和田幸典さん。認知症基本法の成立に関わられた方です。超党派議員連盟と認知症当事者団体との話し合いなどを重ねられ、こだわりを持って条文を作成されたチームのお一人です。
和田さんのお話から
まずプロフィールをお話しいただきました。和田さんは在英国日本大使館の一等書記官として、認知症に関する国際業務にも携わっていた経験があるとのことで英国の認知症施策についてもお話しいただきました。日本の良さや両国の考え方の違いについても詳しく説明があり、認知症基本法作成の舞台裏についても伺うことができました。そののちグループワークが始まりました。その際に「チャタムハウスのルール」について教えていただきました。そこで話し合った内容を発言者と紐づけしたりせず、見聞した内容や私個人が大切だと思えたことを感想として書きます。
チャタムハウスルール
出典: フリー百科事典 ウィキペディア(Wikipedia) 翻訳はchatGPT
会議、またはその一部が Chatham House Rule の下で行われる場合、参加者は受け取った情報を自由に使用することができますが、話者の身元や所属、他の参加者の身元や所属を明らかにしてはなりません。
—Chatham House、王立国際問題研究所、Chatham House Rule
グループディスカッションから
参加者がグループに分かれディスカッションを行いました。
共同作業って?
いきなり認知症当事者の方を招いてさあ会議というのではなく、語り合う場・ピアサポートなど人と関わり合う場・タイミングなども考えながら、どうやって作っていくのか、いまの社会環境のリアルと対峙しながら、語っていくことの大切さが話されました。「by/with」というものの見方に触れました。認知症についての活動って、いまの認知症の人だけで主体的にやればよいのかあるいは必要な支援を受け活動すべきなのか、さらに支援する周囲の人々とともにやっていくのか、認知症の人と周囲の人の深刻な境目の問題。リアルな当事者活動の本質的な問題についても語り合いました。
アウトカム?
認知症施策や行政の立場ではなにごとにつけても「評価」が求められる昨今です。そしてしばしば「評価のための施策」に陥ってしまうことがあります。評価ありきで考えてしまうことで、本来の施策や支援の公的な形が歪められてしまうという指摘がありました。じゃあ評価がなければ?お金が動かせません。お金がすべてではありませんが、悩み多き指摘です。
認知症を考えることは市民社会を考えること?
共生社会の実現は市民社会を築くことにつながるのでは。という意見もありました。「市民」とは自らの手で生きる力を蓄えてきた人々のイメージがあります。つまり強制される人々でもなく、施しを待つ人々でもないイメージです。お互いを頼りにし支え合いながらも自らの意見も主体的に発信するような文化なのだろうと思いました。
参加者から
組織の中の自分ではなくて、個人として「考える」機会はありそうでなかなかないね、ということを言っておられた方がいました。最後に「それにしても、この会はやっぱりいいですね」と笑顔でおっしゃって幕を閉じました。
おまけ
認知症当事者勉強会 世話人会写真
7月本会前に先立ち、準備のための会がのぞみメモリークリニックで行われていました。香川や仙台をはじめとする各地域で活躍されている医師・厚生労働省OB・大学教授や学生・報道関係者・公的機関・企業や各現場で活動されている方々・丹野智文さんも。「米誌タイムが選ぶ『世界で最も影響力のある100人』の一人として紹介された上野千鶴子先生のお姿もありました。これだけの多くの方々が、平日の夜お仕事を終えてからお集まりいただいたことに、本当に驚きました。
文責 精神保健福祉士 寺尾康子
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