
#06 スタンドバイミー
認知症になったことを近所の人に伝えた途端、
「感染るから」と言われ避けられるようになったと話す受診者さん。
「友達だと思っていたのに悲しい。まるで硬い殻に閉じ込められた気分」と、心境を語ってくれた。
一方でクリニックには友達が付き添って受診する人もちらほらいる。
先日も友達同伴でやってきた方はご近所同士10年以上の付き合いだと言う。
「約束を忘れても彼女が教えてくれるから安心です」。
その友人は先生に、今後の対策や彼女とどのように接して行ったら良いかなど親身になって質問をしていた。
偏見を持つ友達をたまたま持ってしまっただけなのか。
偏見のない友達がたまたまそばにいたただけなのか。
たまたまの運命は自分で選べないから難しい。
ただ自分で選択することで新しい人間関係を築くことはできる。
高齢者の独居が多い団地に一人で住む受診者のSさんは、
同じ団地に住む仲間に支えられて生活を送っている。
認知機能が徐々に低下しいよいよ一人で出かけることが難しくなり始めてから、仲間たちが団結してSさんのサポートを始めた。
Sさんを中心にこれまで同じ団地に住みながら面識のなかった人たちが顔見知りになり交流が始まった。
もし彼女たちがSさんのことを知らんぷりしていたら、見て見ない振りをしていたら、
きっと彼女たちも仲間と出会うこともなく、このまま独りで暮らし続けることになっていたのかもしれない。
硬い殻をも破ってくれるこんな友達が現れたら良いなと、
殻に閉じこもってしまった彼女のことを思う。
破り破られ生きる。そしていつでも青春物語は始められる。


冨田しのぶ
Shinobu Tomita
のぞみメモリークリニック医療事務スタッフ/映像クリエーター
映像クリエーターとして企画、撮影、編集を手掛ける。動画広告、e-Learningコンテンツ、映画予告編など。
介護ヘルパーを経て、現在はのぞみメモリークリニックにて医療事務スタッフとして従事。
また、2021年に三鷹市地域福祉ファシリテーター養成講座を受講。その後、地域福祉についての情報を発信する情報メディア「とみぞうさんと地域福祉未来研究所」立ち上げ。メールマガジンやYouTube、Instagramで地域福祉の未来につながるような情報を発信。
メールマガジンに掲載したインタビューをまとめた冊子。
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