#04 シャーロック

#04 シャーロック


置いたはずの鍵がない。
そんな時は少し前に立ち返って、自分の行動を整理する。
Nさんは「毎日がシャーロックホームズのようだ」と語る。
その話を聞きながら、英国のコートとハットを身にまとったNさんの姿を思い浮かべていた。良く似合う。
パイプでもくゆらせながら、一つ一つ推理して行く。物捜しも楽しそうだと思った。
ただNさんは、サービス精神のある人だからユーモアを交え語ってくれたけど、
これだけ四六時中、頭をフルに回転させていては、疲労困憊してしまうだろう。
いくらシャーロックでも、こうも依頼が続けば、好きな仕事もうんざりしてしまうかもしれない。

記憶を探す方法はおのおのさまざま。
Nさんのような謎解きもあれば、道具を使って記憶を探す手法もあるようだ。
ポストイットにメモをして壁に貼る、スマートフォンのボイスメモを使い記録を残す、鍵やSuicaはカバンに紐で繋げる、色分けしたキーフォルダーを使い一目でわかるようにする、など。
自分に合った謎解きで、工夫をしながら生活を送っていると感じる。
「ずっとこんなことをしていると頭が疲れます。夜にはぐったりです」。
今も仕事を続けているKさんは、頭の疲労感は半端ないと言っていた。

シャーロックホームズにはワトスンという相棒がいるから、探偵を続けられている。
そこらじゅうに頼れる相棒がいたら、シャーロックの負担も軽くなるかもしれない。
私には医師免許もないし、銃の使い手でもないけど、心の支えくらいにはなれるかもしれない。
はたまた、私が謎解きをする時は、
「Elementary, my dear Watson.(初歩的なことだよ。ワトスン君)」
とかなんとか言い合って、探偵業を続けていきたい。

冨田しのぶ

Shinobu Tomita

のぞみメモリークリニック医療事務スタッフ/映像クリエーター

2021年に三鷹市地域福祉ファシリテーター養成講座受講。その後、地域福祉についての情報を発信する情報メディア「とみぞうさんと地域福祉未来研究所」を立ち上げ。メールマガジンやYouTubeやInstagramにて、地域福祉の未来につながるような情報を発信しています。
メールマガジンに掲載したインタビューをまとめた冊子。
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